2022-01-01から1年間の記事一覧

憂の季節 指先は冷えたまま 夜風に溶けていく煙を見ていた いつまでも残る苦い記憶と 後味の悪さを噛み締める 眠れぬ夜に鳴り響く 秒針の音に苛立ち耳を塞ぐ 今日が明日に変わり 明日が今日に変わる 迫り来る朝焼けに照らされて 煙はどこかへと消えていった …

春の夢

誰にも知られず咲いた小さな花は やわらかな陽射しの中で 風に揺られて散ってゆきました 風は儚い想いを運んで 何処かへと消え去ってゆきます 僅かに甘い匂いを残し 穏やかな春の訪れを 僕にそっと知らせるのです やがてあの花の名前も春風も すべて忘れてし…

おやすみ

ああ また今日が終わろうとしている あんなにも澄んだ青空だったのに もう少しでどこかへ どこかへ行けそうな気がしていたのに もう空はあんなにも綺麗な グラデーションになってしまった 窓の外を見ながらため息をひとつ タイムラプスの映像を 見つめるだけ…

街を歩けば

街を歩けばいつもと変わらぬ風景 渡鳥が空をゆき電車の音が遠ざかる 忙しげに揺れ動く日々の中で 私がいまここにあること それを奇跡と呼べるのならば 写真の一枚にでも残しておきたい けれども私はここに一人 だから私は言葉を紡ぐ 何気ないこの一瞬を噛み…

珈琲旅

ブラジル スマトラ タンザニアどこへも行けないそんな日はコーヒーで世界旅行へ

夜空の光

シリウス ベテルギウス プロキオン 静かに佇む夜の闇に 未だ届かぬ星の光 いつか何億光年という時を超え 私が見つけるその時は その輝きをあなたと名づけよう

私の知らない無数の悲しみが 今雨となって街へ降り注ぐ あなたの知らない私の悲しみは まるで鏡のように窓に映り込む 静けさにぽつりぽつりと雨音ひとつ 雑然と散らかった部屋に私はひとり 歩き出そうとする私を 雨の音が邪魔をする やがて水溜まりは海とな…

帰郷

夕焼けの空に染まる街 黄昏色のグラデーション 何処からか風が吹き抜けて あたりは一層静かです あれから何年経ったのか 再び僕は帰ってきた 満たされぬ日々を眺めては 空の高さに背伸びする 街にあかりが灯る頃 風に吹かれた髪がなびく 夕べの香りが際立て…