2023-01-01から1年間の記事一覧

Twilight

日の沈む頃、黄昏色に染まった空のコントラスト、遠くに描かれた一筆の飛行機。夕方五時のチャイムが響き、一番星が静かに瞬く。その景色が好きだ。でもその時間は一瞬で、少し目を離せばすぐに夜の闇に飲まれてしまう。そして不意に僕らは、いつのまにか遠…

月夜の祈り

そよ風の匂いや空や木々の色めきに 気づかぬまま過ごす人も少なくないだろう 画面に目を伏せて人々が行き交う街 切手を一つ添えてあなたに手紙を贈ろう 争いのない時などないと分かっているけれど 今夜だけ同じ星を誰かが見られたなら 余裕のない日々の中で…

思い出はいつも輝いてみえる

あっという間に月日は流れ、幾度めかの冬を迎えようとしている。今年も色々あったな。 急激な夜の冷え込みに感傷に浸れば、ふと思い出すあの頃の記憶。木漏れ日の射すキッチン、散らかった居間、石油ストーブの匂い。今はもう戻れない、家族の風景。 思い出…

ねむりの森へ

あなたの寝息を聞きながら 僕はそっと眠りにつくのです 今日の一日が穏やかであったこと あなたがそこにいてくれることに 安堵しながら 感謝しながら 明日も同じように陽が上り 穏やかな夕暮れが訪れるようにと おまじないを一つ胸に唱え 夜に思いを馳せるの…

Blend Life

朝は一杯のコーヒーと レコードから始まるルーティーン 観葉植物に水をやって 読みかけの本を手に取って ゆるりと流れるミュージック Bill EvansにGerry Mulligan 外から入り込んでくる風に 身を委ねて揺れるハンモック これからなんて誰もわからないし 何を…

11月の風

木々の葉は散り、風はざわめく。 何故お前はここにいるのかと 問いただすように轟々と鳴り響く。 不意に僕は居た堪れなくなる。 長くなった影、短くなった残りの月日に 焦燥に駆られあてどなくまた歩き始める。 成すべきことと、相反する今の自分を見つめ直…

記憶

並木に花が咲いている坂道を ふたりで歩く 訳もなく 宛てもなく 思い返す日々はただ美しいばかり 流した涙の行先は夜の静寂へ消えてゆく あなたは今も変わらずにいるだろう 手紙に添えた言葉の意味ならもうないさ それはまるで散りゆく花のよう 待ち望んだ季…

六月

朝の空気を吸い混んで 雀が鳴いた街並みを歩く 君が見ていた昨日の景色を 僕は永遠に知ることはないまま 泣きたいほどのあの日の悲しみも 今になれば輝いて見えるし すぐに不安になってしまう僕らは 大事にそっと確かめ合いながら 未来は不安だし 過去は消え…

愛のうた

風が少し木漏れ日の影を揺らし 新しい季節の始まりを告げる 僕は何故かふいに寂しくなって 懐かしいあのメロディまた口ずさむ 変わる景色の中で変わらないものを探し 君の声が聞きたくなる だから今 揺れるリズムに乗って愛の唄を歌おう 涙やため息もすべて…

休日前夜

明日の朝食はパンにしようジャムを塗って コーヒーも入れよう 豆はキリマンジャロのミディアムロースト 昔は苦手だった酸味も 今や欠かせない味わい 読みかけだった小説も読めたら読もう BGMもかけよう ボサノバはどうだろう スタンゲッツのレコードがあった…

春風

六畳の窓辺から見上げた空に 遠くひこうきが雲を描いた どこへ行く宛も持たぬ僕はただ そっとやり過ごすささやかな日常を どこか懐かしいやわらかな匂いに 月日の流れを知る 風は新たな季節を告げて 今君の街にも春が来る 揺れるカーテンの隙間から光が差し…

この素晴らしき世界で

高く澄んだ空 水面に映る青 季節の花が咲き 鳥たちは自由に飛びかう 愛しい人たちを想いながら ブルースに乗せて愛を唄う この素晴らしき世界で私は生きている The sky is high and clear The blue reflected on the water Seasonal flowers bloom and birds…

二月の雨夜

夜更けの街に哀しみの雨が降り注ぐ 六畳の静寂を打ち破るように 秒針の音だけが絶えず鳴り響く 二月の冷気は僕の体温を奪い去り 眠れずに憂い嘆く僕はあなたのことを考えている もうすぐ春が来るというのに あなたの住む街では雪の予報と聞きました いつから…