Twilight

日の沈む頃、黄昏色に染まった空のコントラスト、遠くに描かれた一筆の飛行機。夕方五時のチャイムが響き、一番星が静かに瞬く。その景色が好きだ。でもその時間は一瞬で、少し目を離せばすぐに夜の闇に飲まれてしまう。そして不意に僕らは、いつのまにか遠くまで来てしまったことを思い知らされる。

どうしても過去のことは輝いて見えるし、現状や続く日常の良し悪しに自分で気づくことはなかなか難しい。充実してみえる毎日でも、いつもどこかに焦りや不安が伴う。いつまでもこのままでありたいと、大切なものがずっとそこにあってほしいと願っても、変わらないものなどない。考えても仕方ない葛藤が終わらない。覚悟を決めたはずなのに、結局あの頃、あの場所に帰りたくなってしまう。今はもう違う帰り道、夜の信号はずっと先まで青が続いている。歩みを止める術はもうない。

もう年の暮れ、街はちょっと早いクリスマスムードのイルミネーションで賑わう。夜はより一層冷え込んできた。歳をとるにつれてやることも増え、移り変わる季節に敏感でなくなってしまった。風の匂いや木々の色めき、そういった季節の変わる予感さえ感じにくくなってしまった。それだけやることに追われているのだろう。それはそれでありがたいが、少し淋しい。

久しぶりに眺めた沈みゆく夕日に、こうやって一日がまた終わっていくんだなと、あの人の歌っていた歌詞の一節を思いだしていた。

忙しなく続く僕らの生活、それがどんなに慌ただしくても、いつだって空は平等で時は流れ、地球は回り続けるのだろう。

あと何回僕らは平穏な日々を過ごせるのだろうか。今日も空は何も言わずただ見守ってくれている。未来はきっと僕らに委ねられている。この夕日が沈んだら、一夜の静寂が訪れ、明日もまた朝日が昇るはずだ。